大河 『真田丸』 第9話「駆引」の名言57個・感想/第10話注目ポイント/解説:なぜ徳川と北条は和睦した?
2016/04/04

この記事では、NHK大河ドラマ『真田丸』について、名言・名セリフや感想を書いています。
※ネタバレを含みますので、未視聴の方はご注意ください。
前回の記事 大河 『真田丸』 第8話「調略」の名言51個・感想/第9話注目ポイント/春日信達とは? もどうぞ!
目次
1. 第9話「駆引」の解説:なぜ徳川家と北条家は和睦したのか?
2. 名言・名セリフで名場面を振り返る『真田丸』第9話「駆引」
第9話「駆引」の解説:なぜ徳川家と北条家は和睦したのか?
1582年6月、本能寺の変が発生した後に、権力の空白地帯となった甲斐(山梨県)・信濃(長野県)・上野(群馬県)を巡る北条家・徳川家・上杉家の合戦を「天正壬午(てんしょうじんご)の乱」と呼びます。
北条家が上杉家との対決を回避して甲斐・信濃で徳川家と対峙すると、数万の兵で圧倒する北条家に対して、徳川家は調略や外交、局地戦における勝利の積み重ねることで、次第に優勢となっていきます。
そして、一進一退の状況が続いていた1582年10月、北条家と徳川家が和睦(停戦)し、同盟を結ぶことで、この乱は終結を迎えます。
徳川家と北条家が和議を結ぶに至った背景について、史実を基に解説します。
北条家が和睦したかった理由
1. 旧武田家の国衆が調略により徳川家に付いた
真田昌幸の他、木曽義昌(7話に登場)や保科正直など、旧武田家の武将が調略により徳川家に付くことで、北条氏直率いる軍勢は次第に信濃・甲斐において包囲される状況となっていました。
2. 徳川家康を追撃する予定だった別働隊が総崩れとなった
北条陣営の作戦は、北条氏直率いる本隊が、徳川家康の新府城を攻略した後、退却しようとする家康を北条氏忠(氏直の叔父)率いる別働隊が追撃する、というものでした。
しかし、北条氏忠の軍勢1万が甲斐黒駒(山梨県笛吹市)に進入すると、徳川家の鳥居元忠率いる1500の小勢がこれを迎え撃ち、撃破に成功します。(黒駒の戦い)
一説によると、小勢と侮った氏忠の兵が放火や略奪を始めたスキを突いて元忠の軍が各個撃破したとも言われています。
3. 北関東の大名が北条家の領土へ進攻を開始した
「関東の覇者」を自称する北条氏ではありましたが、北関東には常陸(茨城県)の佐竹義重や下野(栃木県)の宇都宮国綱といった対抗勢力が残っていました。
それらの大名が北条領に進攻を開始すると、さすがの北条家も多方面に兵力を割くこととなり、不利な状況へと追い込まれていました。
徳川家が和睦したかった理由
援軍を期待していた織田家が分裂し、両陣営から和睦を要請された
清須会議(清洲会議)で後継者や領地配分が決定したことで、一旦は落ち着くかに見えた織田家ですが、羽柴秀吉が勢力拡大を画策し、それを柴田勝家が誓約違反と非難することで、両者の溝は深くなっていきました。
その結果として、羽柴秀吉-織田信雄(織田信長の次男)陣営と、柴田勝家-織田信孝(織田信長の三男)陣営という対立構造が出来上がります。
両陣営とも徳川家を自陣営に引き込もうとするのは当然の動きで、織田信雄・織田信孝それぞれが徳川家康に対して北条家と和睦するよう勧告したと言われています。
和睦の条件は?
徳川家と北条家が和睦した際の条件は大きく分けると2点、「支配する領地の線引」と「婚姻関係を結ぶ」となります。
領地については、「北条家が上野を支配」「徳川家が甲斐、信濃を支配」と、徳川家に有利な条件となっています。
(この時の決定が、真田家の上野支配に大きな影響を与え、以後の徳川-真田の対立の遠因となります)
もう1点、婚姻関係については、徳川家康の娘である督姫(とくひめ)が北条氏直の正室として嫁ぐことになります。
名言・名セリフ57個で名場面を振り返る
『真田丸』第9話「駆引」
(放送日:3月6日/再放送:3月12日)
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父上は、ひょっとしたら俺たちが考えていたより、はるかにすごい人なのかもしれないな。
思いつきだけで生きてるのではないかと正直不安に思ったこともある。
だが、父上は先の先を読んでおられた。 大したお方だ。
春日の調略のことだが、信達にも非があった。
あやつは恩ある上杉を不服に思い、己の意思で裏切った。自業自得とは思わんか。
お前は……。 優しすぎる。もっと、強くなれ。
誰にも従わず国衆だけで信濃・上野を治める。相変わらずふざけた事を言いおって。
だが、実に面白い! お主の考えに初めて乗ってみるわ!
やはり、ぐっと引っ張っていってくれるお方がいなきゃ、駄目なんですよ。
源次郎様の父上が信濃を治めてくれりゃ、こんないい事はねえんですがね。
春日様には申し訳ないことですけど、私はホッとしました。
だって、戦をしなくて済んだから。 戦が起きないにこした事はありませぬ。
それに……。 源次郎様には死んで欲しくないのです。大切な人を戦に送り出すのは辛いことなんですよ。最期の別れになるかもしれないのですから。
源次郎様。戦って、勝てばそれで良いのですか?
でも、もし戦に勝って、でも、みんな死んでしまって。 自分一人になってしまったら?
大事なのは、人の命をできるかぎり損なわないこと。 そんな気が致します。
源次郎様のお父上は、それを分かってらっしゃるのではないですか?
碓氷峠を超えた荷駄は必ず小諸を通る。 小諸ならば手勢が僅かでも一気に押さえる事ができます。
ここを塞いでしまえば一切の物が届かず、北条勢は孤立して飢えるのみ。
このあとは我らは手を出さずに徳川様の軍勢にお任せしましょう。 さすれば、我らは、無駄に味方の命を損なわず、戦に勝てまする!
あらすじ 第9回「駆引」|NHK大河ドラマ『真田丸』
『真田丸』 第9話「駆引」(3月6日放送)の感想
真田丸第9話「駆引」は、ここまでのストーリーを毎回楽しんできた視聴者にとっては、期待を裏切らない「定番ネタ」が盛り込まれていた回でしたね!
まずは、全国の真田信幸×室賀正武ファンが待ち望んでいた、「だまれこわっぱ!」でしょう。
これまで、真田と室賀が対立する構図が続いていましたが、遂に手を結ぶというストーリー展開。
「もしや今回は聞けないのでは……?」という空気が漂っていましたが、やはり信幸が余計な口出しをしてくれました!
ちなみに、「黙れ小童!」は、過去3回(第3話・第5話・第6話)に続いて、4回目の登場。
(ネタバレになりますが)室賀正武の登場回数は残り少ないので、何とかもう1回、聞かせて欲しいところですね。
次は、真田昌幸のコロコロと変わる戦略に翻弄される、真田信幸。
北条に付いたかと思えば、徳川に付く。
信濃の国衆たちの寄り合いを作るのかと思ったら自らが大名になると言う。
5分前に言った事がすぐ嘘になるので、信幸と同じように我々も思わず「父上~っ!」と叫びたくなりましたね。
こうしてみると、「真田丸」の「真田丸らしさ」って、実は大泉洋さん演じる源三郎が作り出しているのでは?とも思えてきます。
さて、もう一つの今回のテーマは、「男と女」なのかもしれません。
昌幸とその妻・高畑淳子さん演じる薫の会話では、「おお、珍しく夫婦らしい会話をしている!」と思わせたのもつかの間。
やはり「人質オチ」でした。
次に、真田信幸と、その妻・こう。
こうは、今回も病弱ネタ、会話が噛み合わないネタで残念な感じでした。
ちなみに、こう は真田昌幸の兄・真田信綱の娘ですから、こう と信幸は、いとこ同士という関係です。
そして、病弱キャラということで、すぐに死にそうに見えますが、実は真田信繁よりも長生きするので、本ドラマでは後半まで出演機会がありそうですね。
真田信幸を演じる大泉洋さんは42歳、こう を演じる長野里美さんは54歳!ですから、実は12歳も差があるのですね。
今後、正室の座を追われることになり、「ますます不幸になっていく」ことが確定している こうの今後が気になるところです。
そして、やはり主役の真田信繁×梅、真田信繁×きり を外す訳にはいきません。
信繁の迷いを断ち切り、進むべき道を示すという重要な役目を果たした梅ですが、きっと信繁とは「良い関係」になったのでしょうね。
そこには、兄である堀田作兵衛が「ミエミエの嘘」で場を外すというナイスな判断があったことも忘れてはなりません。
一方で、ここのところ不評続きとも言われる長澤まさみ演じる、きりについては、今回はちょっと可愛そうな印象もありましたね。
必要以上に信繁から邪険に扱われてしまい、その「ウザさ」を発揮することすら叶わなかった訳ですが、ここから悪評を返上できるかどうか注目です。
ちなみに、饅頭のナイスなスローイングは、2009年大河ドラマ「天地人」で演じた初音(幸村の姉・女忍者)を彷彿とさせるところですが、今後の話でもその特技が活かされることはあるのでしょうか。
ここまでに紹介したキャラクター以外にも、真田昌幸に大きな決断をさせ、そして家臣となることを宣言した出浦昌相や、徳川相手に有利な条件を引き出した叔父・真田信尹など、名脇役がしっかりと仕事をしていたのが印象的な回でもありました。
このように振り返ってみると、三谷幸喜さんは「鉄板ネタ」や「お約束」を脚本に仕込むのがとても上手いと感じますね。
とは言え、ストーリー展開のスピード感には定評がある「真田丸」ですから、我々が「定番」と思った頃に、それを上手く裏切ってくれるのではないかと期待してしまいます。
ドラマの一番最後に強烈な印象を残したのは、和睦した徳川家康と北条氏政が睨み合いながら近づいたかと思いきや、笑いながら互いの頬を掴んで抱き合うシーン。
「よくもやってくれたな」「そちらこそ」といった意が込められていたのでしょうか。
この記事の冒頭にも書いた通り、徳川・北条の和睦の背景には複雑な要因が絡み合っているのですが、その詳細を描かずとも、「視聴者に何となく同盟を納得させてしまう」という、ある意味「力技」とも言える脚本ですね。
高嶋政伸さん演じる北条氏政の笑い方には色々なパターンがありますが、今後真田家と対決する中で、その笑いが消えるのか、あるいは新たな笑い方を披露するのか、そんなところも楽しみにしたいと思います。
次回『真田丸』 第10話「妙手」(3月13日放送予定)の注目ポイントは?
真田信幸と真田信繁が兄弟2人で浜松城へ乗り込み、徳川家康と交渉して、新たな城を造らせるよう要請することになります。
兄弟が力を合わせるシーンが期待できますが、一方で、真田信幸と、後にその舅となる本多平八郎忠勝の対決も見られそうですね。
人質となっていた、祖母のとりも再び登場するようです。
続いて、真田信繁が過去に名前と身分を偽って交渉に望んだ、上杉家へ再び交渉に赴くことになります。
「義」を第一と考える上杉景勝に対して、信繁がどのようにして信頼を勝ち取るのか、そして、それを直江兼続がどのような眼で見ているのか、緊迫した交渉シーンとなりそうです。
また、梅のお腹には信繁の子がいるという嬉しい知らせも。
(果たして、それを聞く きりのシーンはあるのでしょうか?)
真田昌幸が信濃の小領主から大名へと進化するその過程で、信繁自身はどのように進化していくのか、それを楽しみにしたいと思います。
あらすじ 第10回「妙手」|NHK大河ドラマ『真田丸』
追記1. 第9話「駆引」の視聴率は16.6%
3/6に放送された「真田丸」第9話「駆引」の視聴率は、前回第8話「調略」の17.1%を0.5%下回る16.6%だったことがビデオリサーチ調べで分かったそうです。
ただし、同時間帯ではR1グランプリや世界卓球などの注目番組が放送されていたことも原因と言われているので、次週の巻き返しに期待したいところですね!