大河 『真田丸』 第11話「祝言」の名言52個・感想/第12話注目ポイント/解説:室賀正武による真田昌幸の暗殺は史実?フィクション?
2016/04/04

この記事では、NHK大河ドラマ『真田丸』について、名言・名セリフや感想を書いています。
※ネタバレを含みますので、未視聴の方はご注意ください。
前回の記事 大河 『真田丸』 第10話「妙手」の名言65個・感想/第11話注目ポイント/解説:昌幸の叔父・矢沢頼綱とは? もどうぞ!
目次
1. 第11話「祝言」の解説:室賀正武による真田昌幸の暗殺は史実?フィクション?
2. 名言・名セリフ52個で名場面を振り返る『真田丸』第11話「祝言」
第11話「祝言」の解説:室賀正武による真田昌幸の暗殺は史実?フィクション?
真田丸第11話では、真田信繁と梅の祝言、つまり結婚式の場で、徳川家康の家臣・本多正信にそそのかされた室賀正武が真田昌幸の暗殺を画策し、逆に討ち取られる、という衝撃のストーリーが展開がされました。
さて、この話は、どこまで本当(史実)で、どこまでが嘘(フィクション)なのでしょうか。
大河ドラマ「真田丸」の時代考証を担当している平山優さんの著書「大いなる謎 真田一族 最新研究でわかった100の真実 PHP文庫」を参考にして、一問一答形式でまとめてみました。
1. 徳川家康が真田昌幸を暗殺しようとしたのは本当?
これは本当のようです。
徳川氏と北条氏が和睦した際の条件として、「沼田領を北条へ引き渡す」ことが決定していましたが、それを真田氏が拒み続けたため、北条氏は徳川氏に対して(当時、徳川配下となっていた)真田氏へ働きかけるように再三要請しています。
家康にしてみれば、北条との同盟を維持する方が大切なのですから、沼田領を北条へ引き渡すための強行手段が「昌幸の暗殺」だった訳です。
2. 室賀正武をそそのかしたのは本多正信?
これはフィクションで、本当は徳川家康の家臣である鳥居元忠が、室賀正武に昌幸の暗殺を持ちかけたようです。
鳥居元忠と言えば、徳川家康が今川氏の人質であったころからの側近で、関ヶ原の戦いの前哨戦である伏見城の戦いで玉砕した忠臣として知られていますが、暗殺を画策するようなことがあったというのは意外ですね。
3. 暗殺計画が真田信尹を通じて昌幸に筒抜けだったのは本当?
史実では、昌幸の弟・信尹ではなく、真田に内通していた室賀正武の家臣を通じて、昌幸には暗殺計画が漏れていたようです。
この頃には、正武の家臣はほとんど真田に調略されていたということですから、暗殺が計画されなかったとしたらどうでしょうか?
それでもおそらく、室賀正武が真田昌幸に勝てる見込みは無かったのではないかと思います。
4. 暗殺が決行されたのは信繁と梅の結婚式だった?
これはフィクションですが、史実では、囲碁の名人が昌幸を訪ねるという機会があり、その場に室賀正武も招かれた、ということですから、昌幸と正武が囲碁を打っていたというのは、もしかすると史実通りである可能性もありますね。
ただし、これらの「史実」は、軍記物と呼ばれる、史料としての信ぴょう性にやや疑問符がつく書物にのみ記載されているということですが、一方で、ある僧侶が上杉家の家臣に宛てた手紙の中で、「室賀が謀反を起こそうとして逆に自害して、その妻子も自害しようとしているので、これを保護して欲しい」と記述していることから、「室賀正武が真田昌幸を暗殺しようとして逆に殺された」という点については、ほぼ史実らしいとのことでした。
名言・名セリフ52個で名場面を振り返る
『真田丸』第11話「祝言」
(放送日:3月20日/再放送:3月26日)
各セリフのを押すと、真田丸の名言・名セリフを簡単にTwitterでシェア・投稿することができます。
真田安房守の嫡男、信幸とか申しましたな。 真田家の新しい当主になったという知らせが聞きたい。 できれば室賀殿の口から。
しかし、いつからだ?
それは、やはり、口吸であろう。
口吸どころではないではないか!
そんな顔して、やる事はやっておるのだな。
本来めでたい事なのですから、私もね、少し頑なになりすぎたかもしれませぬ。
ほら出た。 お前はいつも言い訳からじゃ。
好きな女子がおるから一緒になると、なぜ素直に言えんのじゃ。 そなたは弁が立ちすぎる。 良い事ばかりではありませぬよ。
室賀様はいつも肌ツヤがよろしいが秘訣はおありですか?
うなぎは肌によいそうですな。
浜松では良いうなぎが取れると聞いております。 近頃浜松に行かれたようだが、そちらでうなぎを?
あらすじ 第11回「祝言」|NHK大河ドラマ『真田丸』
『真田丸』 第11話「祝言」(3月20日放送)の感想
真田丸第11話は、信繁とお梅、2人の「祝言」つまり、結婚式を中心としてストーリーが展開しました。
大河ドラマの脚本の難しいところは、「その時代をどれだけ正確に描くか」と「どのように視聴者の共感を得るか」という相反する要素のバランス取りだと思います。
史実を無視すれば「安っぽい」「大河ドラマらしくない」と批判されてしまいますし、一方で史実に忠実に描き過ぎると「話が複雑で判りにくい」「登場人物に感情移入できない」といった感想が増えてしまいます。
そういう点では、武家社会における「正室」「側室」という「一夫多妻制」も、大河ドラマで描くのが難しいテーマの一つです。
近年では、「側室を持たなかった」と言われている武将を主人公とした大河ドラマが多かったのも、そういう理由なのでしょう。
※「軍師官兵衛」の黒田官兵衛、「天地人」の直江兼続、「江~姫たちの戦国~」の徳川秀忠、等。
しかし、真田信繁には正室の他に3人の側室がいますので、それを省く訳にはいきません。
真田丸では、脚本の本筋として「信繁が好きになった女子と一緒になる」という現代人に受け入れられやすいストーリーにしつつ、母上・薫にその結婚式を反対させることで「史実」と「ストーリー」のバランスを取る、それが三谷幸喜さんの狙いではないでしょうか。
それでは、今回活躍した登場人物の面々を振り返ってみましょう。
まずは、今回で遂にその最期を迎えてしまった室賀正武。
最期に「黙れ小童!」をもう1回聞けるかと期待していた方も多かったかと思いますが、残念ながらそれは叶いませんでしたね。
ただし、今までは思ったことを何でも口に出してしまうストレートなキャラクターだった室賀が、悩み迷う姿は斬新だったように思います。
また、「幼なじみを殺せない」という「実は良い人」な素顔も見せてくれました。
今回がラストとなるのが惜しいキャラクターではありましたが、個人的には、真田信幸が「黙れ小童!」を継承してくれる日が来ることを期待しています。
そんな真田信幸は、今回も「ハズレ」な役回りが多かったですね。
特に、室賀正武に浜松のことを聞くシーンでは、しどろもどろになりながら、その役目を果たすところが見どころでした。
※ちなみに、鰻が浜松の名物となるのは、本当は明治時代以降のことらしいです。
また、信繁に「いつからだ?」と聞くシーンでは、男兄弟ならではの「恋話のしにくさ」が描かれていたように思います。
出浦昌相は、その「忍び」らしいところを存分に見せつけました。
室賀の手下を刀で切り捨てて返り血を浴びるシーン、苦無(くない)を構えて控えるシーンは、サマになっていましたね。
一方で、同じ「忍び」の佐助は、今回はちょっと失敗が目立ちましたね。
偵察や流言飛語には定評のある佐助にも、「苦手分野」があったということでしょうか。
きりは、「源次郎様を巡る梅との戦い」には負けてしまいましたが、今回は「視聴者の気持ちを一番代弁してくれた」登場人物だったのではないでしょうか。
現時点では信繁の側室となる展開が全く予想できない きり ですが、今回を契機に、信繁との関係がどう変わっていくのか、注目したいですね。
一方の梅は、信繁の妻になるということで、着物がグレードアップし、祝言の場ではしっかりと化粧もされていました。
「おお、梅がこんなに綺麗になって!」と、ちょっとした父親感覚で観ていた方も多いのではないでしょうか。
単純に優しいだけではない、気の強いところを合わせ持った梅が、今後しばらくは信繁の成功を喜び、苦悩を分かち合える妻として支えてくれることでしょう。
信繁が最後の最後で流した涙。
二重にも三重にも重なった「悔しい」の気持ちが、武将として一回り大きく成長させてくれるのか、あるいは、また進むべき道を見失わせてしまうのか。
現時点ではその答えは出ていませんが、個人的には今回が「第1章」の終わりであり、「第2章」の始まりとも言える、「節目の回」だったことは間違いないでしょう。
次回『真田丸』 第12話「人質」(3月27日放送予定)の注目ポイントは?
次回の副題は「人質」ということで、これまでにも様々な登場人物が様々なところへ人質に出されていましたが、今回は信繁が自ら上杉家の人質となりに行くようです。
今までは、あくまで交渉の場でしか接点のなかった上杉景勝や直江兼続ですが、その懐に入り込むことによって、主従の関係がより詳しく、深く理解できるのではないでしょうか。
また、これまで信濃という山に囲まれた土地でのシーンが多かった真田丸ですが、今回は越後の漁民が登場するということで、今までと違った海辺の景色で信繁の活躍が見られそうです。
一方、真田昌幸は本格的に徳川家から離反する方針を固め、それに対して、徳川家は自らが築城した上田城を攻めることを決めます。
いわゆる「第一次上田合戦」に向けて、徳川家康がどのように真田家を「雑魚扱い」から「強敵扱い」に認識を改めていくのか、そんなところにも注目したいですね。
次回の予告動画によると、「信繁青春編 クライマックスへ」とのことですので、もしかすると「第一次上田合戦」の終了までが、一つの章として構成されているのかも知れません。
あらすじ 第12回「人質」|NHK大河ドラマ『真田丸』
追記1. 第11話「祝言」の視聴率は15.6%
2016年3月20日に放送された「真田丸」第11話「祝言」の視聴率は、前回第10話「妙手」の16.2%を0.6%下回る15.6%だったことがビデオリサーチ調べで分かったそうです。
ここ数回の視聴率推移だけを見ると「右肩下がり」とも言える状況ですが、一方で日曜午後6時からのBSプレミアム放送では4.5%という高水準をキープしているということなので、地上波の視聴率だけで悲観的になる必要はないのかもしれませんね。