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仕様変更に悩むSEへ送るマイケル・デルの名言

      2016/02/11

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ユーザー受け入れテストで仕様追加が発生!?

あなたは、プロジェクト開始時に顧客の要求仕様を整理しました。

顧客 『要望としてA・B、あと可能であればCもお願いしたいのですが。』

あなた 『はい、以前にお伺いした納期・予算を考慮して要件を整理しますね。』

各要望を満たす機能を開発するための工数を見積もったあなたは、顧客に対して以下のように説明しました。

あなた 『この予算で20xx年◯月を納期とするのであれば、A機能・B機能を開発します。』

顧客 『わかりました。それでお願いします。』

その後、プロジェクトは計画通りに進み、開発チーム内のテストは完了。
続いて、顧客がシステムを使用して試験をする、ユーザー受け入れテストが開始されました。

そんなある日のこと。

あなたは週次の定例で、顧客からこんな質問を受けました。

顧客 『受け入れテストを本格的に開始する前に、ざっと色んな画面を触ってみたのですが、C機能はどうやって使うんでしたっけ?』

あなた 『C機能ですか?それは今回のスコープから外したはずですが……。』

顧客 『ええ!?最初の打合せで、A・B・Cの3つをお願いしていたはずだったのですが、いつの間にスコープから外れたのでしょうか……。とにかく社内ではこの機能がある前提で次期サービスを予定しているので、無いと困るんです!』

結局、仕様変更で追加の費用は貰えたものの、一旦開発チームから抜けていたプログラマーを無理やり戻して、カットオーバーの1週間前にようやくC機能が完成。
カットオーバーの前日まで徹夜でテストを実施して、何とかリリースすることができたのでした。

しっかりとスコープマネジメントのドキュメントを作成し、顧客に対して作業範囲を明確化していたはずだったのに、何故こんなことになってしまったのだろうか……。

そんなあなたへ送る言葉が、デル社の創業者 マイケル・デルの名言です。

することを決めることは簡単だ。
難しいのは、しないことを決めることだ。

マイケル・ソール・デル(1965-)

マイケル・デルとは?

マイケル・デルは、コンピュータ会社デルの創設者です。

デルはアメリカのテキサス州で裕福な家庭に生まれ、学生の頃に「コンピュータを卸売業者から仕入れてアップグレードし、高値で売る」というアルバイトを始めました。

そこで、当時販売されていたコンピュータの原価が、販売価格の4分の1以下であることを知り、大学在学中に「完全注文生産の直売」に特化したコンピュータ製造販売会社を設立。

安価で高性能なコンピュータが手に入るということで、デル社は急成長を遂げたのでした。

デルの場合は、『卸業者・小売店経由での販売をしないことを決めた』のが、成功の秘訣だったのです。

まとめ

システムの要件を整理する中で、「やらないことを決める」のは、「やることを決める」のと同等、あるいは、それ以上に大切かもしれません。

とは言え、顧客に対して「あれもやりません」「これもやりません」と伝えるのは難しいですよね。

そんな時は、物の言い方一つで、ポジティブな印象を与えることができます。

『この機能は初期フェーズではスコープ外としますが、追加開発しやすいように設計時点で考慮しておきます。』
『初期フェーズではこの機能は利用できませんが、別の機能を使って運用でカバーすることは可能です。』

「決して顧客の要望を無視した訳ではない」というメッセージを前面に押し出すことで、「できません」を納得してもらえるのが理想的ですね。